150年の歴史を誇る甲州手彫印章は、日本で唯一の伝統工芸指定された印章であり、今でも職人の手によって一つひとつ作られています。
「baton to the next project」では、アップサイクル、書体のデザイン、文字の形を面白さなど、さまざまな側面で甲州手彫印章の技術と特性を活かした商品を開発。職人、クリエイター、ベンダーによるコラボレーションを通じて、「甲州手彫印章」の文化や新たな価値を広め、伝統を次の世代につなげていきます。
山梨県における印章業は、御岳山系に良質で巨大な水晶鉱が発見、発掘されたことから始まりました。1837年(天保8年)、甲府近郊の御岳に水晶加工工場が設立されたのを機に、以来数多くの加工業者および加工技術が生まれ、水晶印材と共にその彫刻技術が発達しました。水晶印はもとより、柘(つげ)、水牛等の印材も加わり、印章の産地として発展しました。1854年(嘉永7年)、「甲府買物独案内」「萬註文帳」等に記載されていることから、印章は江戸時代には普及したことがわかりました。1873年(明治6年)太政官布告により、一般市民の間に急速な印章需要が起こった ことから、山梨県独特の産地形態が形成されました。
出張販売、通信販売等により市場を拡大することで一大産地として発展し、今日に至るまで、「甲州手彫印章」の技法が伝承されており、市川三郷町六郷地域における印章業は、町の基幹産業として「印章王国山梨」の力となっています。県内には、印材メーカー、印面彫刻業者、販売業者等のすべての業者が集まっています。これらの100年以上続く伝統・技術技法が認められ、甲州手彫印章は平成12年に経済産業大臣より伝統的工芸品の指定を受けました。印章の分野で伝統的工芸品の指定を受けているのは、 甲州手彫印章だけです。 令和2年には、新しい素材・道具の発達にも対応した新ブランド「伝匠印」も誕生しました。
漢字の起源は3000〜4000年前。亀の甲や獣の骨などに刻まれた古代中国の文字が始まりでした。その後、青銅器の表面に鋳込まれた金文、秦の始皇帝によって国家標準として公布された小篆(しょうてん)、小篆を簡素化して直線的に構成した隷書、現在最も標準的な書体として使われている楷書など、時を経てその形を変えてきました。 手彫印章の職人は漢字の歴史や成り立ちを一文字ずつ理解した上で、書体を選び、最適な文字の収まりを設計しています。
熟練の職人たちが文字を選び、選んだ文字からデッサン・布字を行い、彫刻することで、唯一無二の甲州手彫印章のが出来上がります。
※以下に記載しているのは、伝統的工芸品甲州手彫印章の場合の工程になります
日本一のハンコの町 六郷町(現 山梨県市川三郷町)生まれ(3代目)
神奈川県印章職業訓練校 卒業
二葉一成先生に師事
1951年創業。山梨県身延町にある印章彫刻専門店宏雅堂の3代目
私は先代から数えて4代目を継承しています。
この先もこの技術を大切にしながら、受け継がれた印章彫刻技能の継承と新たな挑戦を考え、印章で感動を与え、自分の気持ちを伝える事の出来る印章を作り、未来を繋げるそんな職人を目指し続けます。